札幌の代表的なグルメのひとつが「ラーメン」。中でも札幌といえば「味噌ラーメン」が“ご当地ラーメン”として全国的に知られています。
今回はその“元祖”に続く「老舗」店、元祖の味を「継承」する店、そして新たなアプローチを展開する「進化系」の店をセレクトしてご紹介しましょう。
札幌にはいろいろな味の味噌ラーメンがありますよ!
ナビゲーターは札幌のラーメン好きライターのakioです。
目次
“純すみ系”を代表する「千寿」
札幌のラーメン屋には“純すみ系”と呼ばれる一大勢力があります。札幌ラーメンの老舗であり名店として知られる「純連」と「すみれ」(元は同一店)で修業の後に独立した店たちのことで、その代表的な一軒が「らあめん千寿」です。
場所は大通公園の8丁目すぐ北側にあるビルの地下。そのラーメンはまさに「純連・すみれ」の味を正統進化させたといえるものです。
一番人気は「味そ」(税込 780円)。丼にはチャーシューにメンマ・ネギ、1個分の味玉が乗り、麺は札幌定番の中太縮れ麺です。
スープをひと口含んでみれば、ラードの風味に味噌のコク、そしてしっかり旨みも感じるよ!
“純すみ”系の店にはサッパリ系に向かう傾向がみられますが、この店の味噌ラーメンはガツン!という押しの強さを感じさせながら、全体的な味のバランスが取られています。
メニューは「味そ」のほかはシンプルに「塩」「正油」(各税込 780円)「チャーシュー麺」(税込 1,100円)。サイドメニューは「ライス・小ライス」(税込 170・120円)のみ。
メニューからもラーメン一本に注力していることが分かりますね!
“札幌の王道を行く”、そんなラーメンが食べたいならここ「らあめん千寿」は絶対のおすすめ店になるでしょう!
“すみれ”の暖簾を掲げる「八乃木」
名店「すみれ」から独立した“純すみ系”の店は数あれど、「すみれより」という暖簾を掲げている店は全国にたった5軒、札幌には2軒しかありません。
その一軒が「八乃木(はちのき)」です。場所は西区の発寒、少し先には手稲の山々を望むような場所にありながら、連日多くのラーメンファンが集う人気店になっています。
定番の「みそラーメン」(税込 850円)はチャーシューにメンマ、山盛りのモヤシの上にはネギとおろし生姜が乗っています。
純すみ系に共通するラードは控えめ、おろし生姜効果も相まってサッパリした味の傾向ですよ。
麺は札幌らしい黄色い中太の縮れ麺、しっかりコシもあるので、シャキシャキのモヤシと相まってその食感も楽しめます。
チャーシューの切れ端が入っているのも“純すみ”らしさです。
途中からのおろし生姜による“味変”を楽しみつつスープを飲み干すと丼の底には「感謝」の文字。
感謝の文字は「すみれ」の伝統で、お客様への感謝とともに修業先への敬意も忘れていないのです!
人気テレビ番組でこの地域のナンバーワンに選ばれたり、全国版のラーメン雑誌で第1位にランクされたりとその評価はうなぎのぼりの「八乃木」、そのラーメンは一度味わう価値ありです!
「らーめん庵」で“純すみ系”が進化中!
札幌中心部の大通から少し西に向かい、地下鉄なら西18丁目駅から6~7分歩いた場所に「らーめん庵(いおり)」はあります。
札幌に勢力を拡大する“純すみ系”の中でも注目度の高い一軒です。
店内はカウンターが7席に4名テーブルが2卓。その他に待ち席があり、この店の人気を窺わせます。
自慢の「味噌ラーメン」(税込 830円)は一見してそれとわかる“純すみ進化系”。
角切りに1枚ものチャーシューにはおろし生姜。これぞ今や札幌の定番スタイルです。
スープの表面を覆う保温効果のあるラードに香ばしく炒めた野菜は、伝統の札幌味噌ラーメンのもの。スープのコクと野菜の甘味のバランスが素晴らしい!
一方、「麺」は老舗の製麺会社から仕入れる店が多い中、この店では数年前に自家製麺に替えています。
伝統をベースにチャレンジングな進化を続けているラーメンなのです!
メニューは基本3味(味噌・正油・塩)のほか、「辛味噌」「昔風正油・塩ラーメン」(各税込 830円)などのバリエーションがあります。
「昔風」ではあっさりスープにストレート麺を合わせ、味噌ラーメンとはまた違った魅力を追求しています。
「月見軒」は札幌ラーメンの“老舗”店
ラーメン王国ともいわれる札幌には(味の三平や純連など)その名を知られる老舗店もありますが、「月見軒(つきみけん)」も昭和33年(1958年)創業という札幌でも指折りの歴史を誇る店です。
その創業を「初代」とし、現在は「三代目」を謳っています。
「札幌駅北口店」はその名のとおりJR札幌駅の北口から歩いて5~6分という便利な場所にあります。
店内も広く40席以上がありカウンターにテーブル、小上がりの席もあって一人でもグループでも入店しやすい造りです。
そしてそのラーメン、人気の「みそラーメン」(税込 900円)は赤・白のブレンドした味噌に野菜や果物・調味料など30種類を加えた秘伝の味。
麺はスープとの絡みが良い典型的な札幌麺(中太で縮れ)で、チャーシューもテイクアウト(税込 1,800円~)が人気になるほどの高評価を受けています。
「チャーハン」(税込 800円)も大人気。“札幌ナンバーワン!”に推すファンも多い一品で、見事なパラパラ感に味も濃過ぎず薄過ぎずというベストバランスのチャーハンです。
ただし「半チャーハン」は無いのでご注意ください!(2人程度でのシェアをおすすめします)
“札幌”ラーメンにこだわる「直伝屋」
札幌では「ラーメン」がご当地グルメとされるほど、伝統的な料理となっています。
そしてその“伝統”と味を直接伝えるべくオープンした店が「札幌ラーメン 直伝屋(じきでんや)」です。
最初はすすきのに開店したけど、今は地下鉄円山公園駅直結の「マルヤマクラス」3階レストランフロアにあるよ。
そのコンセプトは店造りにもラーメン作りにも表れています。
店内に入ると調理場が見えるようになっており、中では大きな炎が立ち上る様子が眺められます。
この「炎」こそが札幌ラーメンの“伝統的”な技法であり、中華鍋で野菜を煽って香ばしさを加える際に見られるものです。
そんな演出とともに食材にもこだわり、味噌は複数をブレンドすることでコクと口当たりの良さを両立させ「札幌味噌ラーメン」(税込 850円)やピり辛の「札幌RED味噌」(税込 950円)を作りました。
麺も札幌の定番である黄色い中太縮れ麺を特注して使っています。
このスープと麺の組み合わせも(立ち上がる炎とともに)札幌ラーメンの“伝統”といえるもの。
“札幌らしい”ラーメンを食べたいなら、ぜひ「直伝屋」に行ってみてくださいね!
地下鉄なら円山公園駅直通、車でもマルヤマクラスの駐車場が使えるよ!
「ふじ屋NOODLE」こそ“進化系”!
札幌の人気観光スポットでありグルメスポットでもある「ラーメン横丁」。
“元祖”と“新”がありますが、すすきの駅すぐ近くで大きな通りに面している方が「さっぽろ名所 新ラーメン横丁」です。
現在5店舗と“元祖”と比べて少しさびしいけど、どの店もキラリと光るラーメンを食べさせてくれるよ!
その横丁で「ふじ屋NOODLE」は札幌の伝統的なラーメン作りとは一線を画す新しいラーメンの提案をしている店です。
特徴は、「魚介薫るクリーミー豚白湯」という珍しいタイプの味噌ラーメンであること。
定番は「味噌」(税込 850円)。そのスープをひと口味わってみれば、それまでに食べていた味噌ラーメンとは全く違うことに驚くはずです。
白湯の滑らかな口当たりに豚骨のコク、さらに魚介の風味が味噌と一体化するよ!
麺は札幌の定番系(黄色のちぢれ麺)とは見た目も食感も異なる“モッチリウェーブ”調で、まさに「このスープにこの麺あり!」と感じさせるマッチングです。
チャーシューは一般的な「煮豚」ではなく専用の釜で吊るし焼きをした本物の「焼豚」。メンマも太めでしっかり味のついた独特のもの。
トッピングされた揚げた玉ねぎと肉味噌玉はスープの味に変化を加え、さらにカウンターに置かれた「ゆず酢」や「サカナコショー」でもさらなる味のカスタマイズを楽しめます。
これこそは札幌の“進化系”を象徴するラーメンといえるでしょう!
まとめ
“札幌で、今おすすめ!”というラーメン店を厳選してご紹介しました。
定番の老舗店は別記事でも紹介しているので、今回はその他の老舗、その伝統を引き継ぎ更に発展させている店、さらに全く新しい手法によるラーメンを提供している店などを選んでみました。
どの店に行っても札幌名物「味噌ラーメン」の魅力を発見できるはずです。
多彩な広がりを見せつつある“今の”札幌ラーメンを味わってみてくださいね!